―あの日あの時のドラマ―●2月21日~27日●銀座幸伸ギャラリー懐かしのプレスリーである。60年代、ロックン・ロールの王様として時代を風靡した。「監獄ロック」など、糸井にとって青年時代を象徴する存在であったろう。特設スタジオでうたうプレスリーのシルエットが、駅前ビルのライトアップされた巨大な壁面に映しだされ、蟻のように蝟集するファンが広場を埋め尽くす。ビル周囲は都電や車の洩光が走り、ビルの間の遙か彼方に細い月がかかっている。あるべき熱気は沈静され、夜蔭には懐かしさが漂い、幻想感が流れはじめる。「帰って来たプレスリー」は20年ほど前の制作(未発表)になるが、これ以前も以降も一貫して、自分をめぐる日常の風景を呼び帰し切り貼りし組み立て、いつの日かも解りかねるワンシーンとして、きわめて主情的であり、色彩的にも濃密に構成している。その構成は実に巧みで、大胆かつ緻密なのである。陰翳に富むロマンと夢幻の世界は、哀愁を帯びた懐かしさを漂わせ、光、風、そして人の香りのする“情景画”なのだ。(中)帰って来たプレスリー(2000年)P200
―あの日あの時のドラマ―
●2月21日~27日
●銀座幸伸ギャラリー
懐かしのプレスリーである。60年代、ロックン・ロールの王様として時代を風靡した。「監獄ロック」など、糸井にとって青年時代を象徴する存在であったろう。
特設スタジオでうたうプレスリーのシルエットが、駅前ビルのライトアップされた巨大な壁面に映しだされ、蟻のように蝟集するファンが広場を埋め尽くす。ビル周囲は都電や車の洩光が走り、ビルの間の遙か彼方に細い月がかかっている。あるべき熱気は沈静され、夜蔭には懐かしさが漂い、幻想感が流れはじめる。
「帰って来たプレスリー」は20年ほど前の制作(未発表)になるが、これ以前も以降も一貫して、自分をめぐる日常の風景を呼び帰し切り貼りし組み立て、いつの日かも解りかねるワンシーンとして、きわめて主情的であり、色彩的にも濃密に構成している。その構成は実に巧みで、大胆かつ緻密なのである。
陰翳に富むロマンと夢幻の世界は、哀愁を帯びた懐かしさを漂わせ、光、風、そして人の香りのする“情景画”なのだ。(中)
帰って来たプレスリー(2000年)P200