全日本美術 ALL JAPAN ARTS
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Work No.81

邂 逅

第118回日展(2026.01)
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「白黒の響きあいをテーマとして」

 昨年の令和6年度文化功労者顕彰をうけた高木聖雨氏。「美術界、文化界全体のために精進する責務を背負ったということ。喜びとともに、何か恐ろしさも感じます」とのコメントが今も筆者の胸の奥に残る。精力的に動いてきたユネスコ登録問題、日本書道ユネスコ登録推進協議会が発足したのは2015年の4月。10年を跨ぐ運動の最先端に立ち、全国の書団体を同一ベクトルに纏め上げ、書道国会議員連盟を巻き込んでの奮闘の連続であった。実現に向けての講演会、揮毫会も多数企画。大阪万博でも大々的なアッピールを示した。ユネスコに先立って2021年12月「書」が日本の登録無形文化財に登録されたことも追い風となり、多くの提出案件を突破して今年正式に政府からユネスコに提案書が再提出された。審議は来年秋以降で年末までに決定される。聖雨氏のほっとした姿に安堵するが、青山杉雨師の全書壇の発展を願う精神を受け継ごうとする決意は更に強くなっている。特に関東(中部含む)、関西(中国地方、九州含む)で一部に偏らない書団体の勢力バランスの是正に尽力する姿勢が窺える。難しいが書壇の地位あってこその大切な役目だ。
 今回、第118回日展に出品されたのは縦2文字の超大字「邂逅」であった。激動のひと間に自身の書人生を思う。ユネスコ案件で会った多くの人々、特にお世話になり、今も続く良い関係の人。この「邂逅」に匹敵する人物もいたかも知れないが、その奥に現れる人物は恩師「青山杉雨」との運命的な出合いをおいて他にないだろう。作品は凛として立ち上がり、「邂」字の塊に「逅」字の文字内の余白が絶妙なバランスをとっている。まさに2字の黒の持つ質量の響きと余白の調和を意図した構造的具現作品である。作家本人の言葉を引用すると「まずは書の根本である線の充実、それに加え、表現方法、太細、潤渇、黒白、大小、中でも黒白をいかに表現するか。緻密な原稿を作成、白を多く出せる『逅』で『邂』の重さを支える。白黒の力関係をテーマとした」とある。文字構成の重さ対比のバランスが良くわかる解説である。
 別の見方をすれば、例えば拡大された長方印として今作を見るとどうだろう。額を外縁として気の流入、流出、滞留を考えても面白い。「邂」字の滞留部7ヶ所は部分の膨張を示唆するも周りの開口部の気の流出が次の「逅」字の字内空間と絶妙な流路を形成している。飛び散る墨は鑿を突き入れた厳しい刻跡に重なる。近年見る作品の中でもメモリアルな一品に数えられると思う。まだまだ、厳しい時代が続くが、過酷なスケジュールをこなす聖雨氏、書道界の明日のために更なるご活躍を祈念したい。(松)

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邂 逅 — 高木聖雨