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Work No.75

明 哲

令和6年度文化功労者顕彰(2025.01)
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伝統を堅持しながらも現代に通じる書を

 藝術院会員・謙慎書道会理事長の高木聖雨(75歳)氏が、令和6年度文化功労者顕彰を受けた。顕彰事由は「古典と現代性とを兼ね備えた独自の作風を築き上げた」とある。
 書道界で21人目となり、70歳代での書家顕彰は、鈴木翠軒氏、大先輩の西川寧氏、師である青山杉雨氏、黒田賢一氏と聖雨氏の5人で、75歳は西川寧氏の最年少記録に並ぶが、それだけ今後の高木氏への期待が大きいといえる。『美術界、文化界全体のために精進する責務を背負ったということ。喜びとともに、何か恐ろしさも感じます』。柔和な語り口の奥に強い決意がにじむ。とのインタビュー記事にも納得がいく。ともあれ、筆者も高木聖雨ファンのひとりとして喜ばしい限りである。
 今は、中国の金石文を追求した文字の造形に芸術性をいかに込めるかという命題に取組む一方、青山師の求めた行草や篆刻、さらには仮名にも視点を注いでおり、書壇を全方位的に捉えて偏りのない総合的な発展を見据えるという、正に青山師の視点を引き継ごうとしている。論理的であり、決断が早く、厳しい反面人情も深い。これは父・高木聖鶴ゆずりの気質かもしれない。その生い立ち、経過、活動、作品評、受賞歴等をこれまで多く紙面で紹介させていただいているが、高木聖雨氏の略歴を再掲する。
 高木聖雨(本名:茂行)は1949年9月8日、岡山県総社市で書家・高木聖鶴さんの長男として生まれた。岡山の高校卒業後、大東文化大学に入学し、漢字書家・青山杉雨氏(文化勲章受章者)に師事。所属の謙慎書道会でいち早く頭角をあらわし、2度の特選の後、2002年に日展会員、2015年に日展文部科学大臣賞を受賞。2年後に恩賜賞・日本藝術院賞を受賞。3年後の2020年に日本藝術院会員に就任した。そして、更に4年後の顕彰を含め異例の飛び級と言えるだろう。
 その背景には、自らの創作と後進の育成とともに、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に「日本の書道文化」登録を目指す積極的な活動がある。政治がらみの難しい舵取りに、聖雨氏の並々ならぬ尽力があったことは周知のことである。
 さて、図版は第11回日展作品である。「明哲」とは聡明で物事の道理に通じている、そのさまやその人のことで、氏の求める域であろう。白黒、疎密、潤渇、太細の両極表現の大調和作だ。(松)

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明 哲 — 高木聖雨