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Work No.29

駿 歩

改組新第2回日展 文部科学大臣賞(2016.01)
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文部科学大臣賞受賞。
 “苦しい時ほど頑張る”との意を含んだ「躍起」を出品したのが前年のこと。思いと動感ある構成が一致した素晴らしい作品であったが、近年はその時節に強烈に感じた思いを作品につなげて自分の『今』を残してきた。例えば、2010年の読売書法展の「碩鼠碩鼠…」(詩経)、同年第42回日展の「千載如風雹」。2012年の読売書法展の「殫慮」、同年第44回日展の「心誠求之」他が挙げられよう。
 ここで、今回の文部科学大臣賞受賞作「駿歩(しゅんぽ)」を改めて見てみよう。筆者自身、会場に入った瞬間に作品から発する気力を感じたが、殆どの展覧者も同様の感覚を持ったに相違あるまい。青山杉雨師の金文の風合いを残しながらも、大らかさのある独自の空間を持って主張する峻烈な風趣があった。授賞理由は、「漢字二字を篆書で表現した大作である。古代文字を長く研鑽された趣が強く感ぜられるが、文字の構造性に留意しながら、白黒の対比、潤渇の配置など現代的感覚の横溢した傑作と見受けた。何よりも線質の強さに驚かされた。」とある。そのとおりであると筆者も思うが、肝心の何故今この撰文を作品としたか、が抜け落ちている。現代性という言葉の中に実は一番大切な作意・モチベーションが入るのだ。
 「駿歩(しゅんぽ)」の撰文について、改めて聖雨氏にお聞きした。「聡明な人達の集まり」のことを言う古語だと教えていただいたが、この撰文も意味深い。いろいろ問題あった日展だが、「聡明な人達の集まり」に再建しようよ、という気持ちと、ここ数年間の間に、大東文化大学書道研究所所長、青山杉雨門の鶴文社理事長就任、そして平成27年、関東の漢字系団体の雄・謙慎書道会の理事長に就任して一層の責任感を肌身に感じたからに他ならない。
 かな世界の重鎮の父(文化勲章・高木聖鶴)の元でなく、あえて漢字の世界に身を置き最高と心から仰ぐ師についた聖雨氏。書道界全般まで行き届いた目配りと新鋭作家の発掘を実践できるスタートラインに今立ったといえよう。乞奮闘!(松原)

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駿 歩 — 高木聖雨