全日本美術 ALL JAPAN ARTS
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Work No.104

いろは

第3回蛙園会書展(2025.09)
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今日的「和の書」の創造を心に

この作品「いろは」に初めて出会ったのは、大阪万博特別会場EXPOメッセ「WASSE」での〈未来へつなぐ日本の書―空・海・時を超えて―〉のオープニング初日だった。盛大なセレモニーで主催者として挨拶する土橋靖子理事長の姿は、緊張感を秘めながらも公人としての威厳さえ漂わせていた。その後、席上揮毫にテーマとかな書を披露したが、日本代表作家として何を出品するか、は最重要テーマであったはずで、大勢の外国からの訪問者に『書』の何を伝えようかという土橋さんの真意は、かな47文字の「いろは」。これこそ「和」の心そのものだったと推測できる。
さて、土橋さんとの面識は神戸全美を引き継いだ頃(約40年程前)から水穂書展を通してあったが、2回目の日展特選後あたりから作品に対する話をわりと気軽にできるようになった。そしてより深く土橋さんの書に対する真摯な姿勢を知る事になった頃、比叡山の塔頭律院の床の間に、般若心経の一節「無圭礙」の掛軸を奉納する話が知人(詩人の照泉さん)よりあり、大阿闍梨・叡南俊照住職の思いにかなうべき『書』そのもののありようまでを深く考える機会を得たと、後に語られている。勿論「無圭礙」は律院の床の間に静かに在り続けている。その当時、田宮文平氏と神戸で会うと、土橋さんに時々声かけして書談議に花を咲かせた。驚くべきは「無圭礙」の奉納後の神懸かり的なステップアップだ。
2003年・現代書道二十人展メンバーに。2007年・芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞、日展新審査員就任。翌年、異例の日展会員賞を受賞した。書壇のサラブレッド的存在となったが、これまでの書業を振り返り且つ新たな指針を持つべき書作展を2010年に開催、それが2016年の書作展「和を紡ぐ」を生んで同年の内閣総理大臣賞へと繋がっていく。この『和』を本格的に意識しだしたのはこの頃か。2年後には日本藝術院賞受賞。凛とした佇まい・所作が普段と思えるようになったのは、2019年の院賞受賞記念書作展「回帰・感謝・誠の花へ」からだ。二人並び立てない水穂会、日比野五鳳の理念を継ぎ、今日的「和の書」の創造を心に秘め決別を決めたのもこの頃か。2022年書道団体・蛙園会設立、日本書芸院理事長就任。翌年、強烈なスケジュールをこなしての土橋靖子書展「和漢の調べ」は正に圧巻であった。そして2024年、書では女性初の日本藝術院会員に就任。今年第3回蛙園会書展に超大作の「いろは」が陳列(万博出品)された。前年にもかな47文字の「大為爾歌」を出品。全文字を重複せず歌を作れるのは日本語『和語』のみである。実にゆったりとした風情だ。(松)

〈2025年日本国際博覧会出品作品〉 いろは

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いろは — 土橋靖子