―酒のうた 自然のうた―■ 4月26日~5月1日 ■東京セントラル美術館(社)日本書道院会長、(財)毎日書道会評議員で書道研究開玄社を主宰する中村雲龍氏の2回目の個展。初回は5年前、同じセントラル美術館での鮮烈な「開玄」の超大作が印象的で今でも記憶に残っている。鄭道昭のどっしりとした骨格に裏打ちされた魂の書といえる作品であった。その初個展を契機に中村雲龍は正に昇龍となった。翌年日本書道院若返り人事で会長に就任、これまで堅実な多字数の行草作品主体であった展示傾向を現代調に転換し、大字少字数、近代詩文書作品を積極的に推進して会の活性化をひきだしている。そうして会長就任4年、会を率先してきた自らの信念を証明するかのような個展の開催となった。漢字作品6点、詩文書作品7点の計13点の大作のみの陳列は正に圧巻。テーマは〈酒のうた 自然のうた〉。いかにもお酒が好きで自然体の雲龍氏ならではの嗜好が窺えて楽しい。極薄墨で4紙にテーマを書きその上に自作文「李白は・・・」を綴った作品は氏の『酒観』を感じられて思わず頬が緩む。「酒にはなぜがないのがいい」は言い得て妙だ。展観者の殆どが立ちすくんだであろう「飮中八仙歌」は今展の白眉であった。杜甫のあまりにも有名な七言律詩だが、その七言を一紙として二×七サイズ二十二紙の連幅は、朱紙に豪快な草書の冴えを魅せ会場の空気さえも揺るがせる強烈な雰囲気を秘めている。これだけの連幅で緊張感が最後まで途切れない、正に中村雲龍の真骨頂をみせた一点である。自然をテーマにした作品としては、島崎藤村の詩四首が優しく爽やかで、氏の心情の一端が覗ける作品であった。更なる飛躍が期待されよう。(松)
―酒のうた 自然のうた―
■ 4月26日~5月1日 ■東京セントラル美術館
(社)日本書道院会長、(財)毎日書道会評議員で書道研究開玄社を主宰する中村雲龍氏の2回目の個展。
初回は5年前、同じセントラル美術館での鮮烈な「開玄」の超大作が印象的で今でも記憶に残っている。鄭道昭のどっしりとした骨格に裏打ちされた魂の書といえる作品であった。その初個展を契機に中村雲龍は正に昇龍となった。翌年日本書道院若返り人事で会長に就任、これまで堅実な多字数の行草作品主体であった展示傾向を現代調に転換し、大字少字数、近代詩文書作品を積極的に推進して会の活性化をひきだしている。そうして会長就任4年、会を率先してきた自らの信念を証明するかのような個展の開催となった。
漢字作品6点、詩文書作品7点の計13点の大作のみの陳列は正に圧巻。テーマは〈酒のうた 自然のうた〉。いかにもお酒が好きで自然体の雲龍氏ならではの嗜好が窺えて楽しい。極薄墨で4紙にテーマを書きその上に自作文「李白は・・・」を綴った作品は氏の『酒観』を感じられて思わず頬が緩む。「酒にはなぜがないのがいい」は言い得て妙だ。展観者の殆どが立ちすくんだであろう「飮中八仙歌」は今展の白眉であった。杜甫のあまりにも有名な七言律詩だが、その七言を一紙として二×七サイズ二十二紙の連幅は、朱紙に豪快な草書の冴えを魅せ会場の空気さえも揺るがせる強烈な雰囲気を秘めている。これだけの連幅で緊張感が最後まで途切れない、正に中村雲龍の真骨頂をみせた一点である。自然をテーマにした作品としては、島崎藤村の詩四首が優しく爽やかで、氏の心情の一端が覗ける作品であった。更なる飛躍が期待されよう。(松)