月刊美術新聞「全日本美術」最終号(2026年7月20日号)より
令和5年、これまでの会場であった奈良県文化会館が改修工事で3年間使用できなくなり、大和高田の奈良県産業会館での間仕切り壁面設置の作業で会場を確保してきたが、3年が過ぎて完成した古巣に壁面展示場がなくなり、復帰が叶わなくなった。憤りを覚える改修工事の現状である。
そんな中、産業会館で、第33回展が粛々と開催され、多くの展覧者が訪れた。「青丹ジュニア展」も併設。
吉川美恵子会長は、佐々木信綱の「一筋の道」を現代かな使いで横流れの布置を創った。実にしっくりとした中に強い意思を孕む。会長補佐・大嶋三峰は、扇面に新古今和歌集の巻頭歌(藤原良経)ほか2首を繋ぎ古色の味わいを醸す。凛と切込む明快な書線で秋桜子の句「一輪の」「枝蛙」と続けた河合鷹山理事長。ふっとなごむ所も欲しいか。常任理事より6名を。2曲屏風に上下違え二段で万葉歌4首を呼応空間をいかして目線を誘導した武村榮子。同じく2曲屏風に3紙の「いろは歌」は川代久美子。大きな展開部があればと思う。縦リズム爽快な前田鈴華も見どころが鍵か。万葉集より帖12首は川代健次郎、澄んだ線質がいい。少し重いがメリハリある富川展行、軽妙さも欲しいか。筆の自在性ある大嶋峰道、空間構成も考えたい。理事から、堂々とした存在感ある豊國恵子。少し荒さあるも、文字を繋ぐ調和センスある森下理賀。知事賞受賞の北川晴香も挙げたい。(松)
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