月刊美術新聞「全日本美術」最終号(2026年7月20日号)より
会場メインに、会の主要スタッフ・桂紅会創設者・楢崎華祥さんの遺作「暮春」が掛かる。晶子の〈生命の炎の〉を書した絶筆とも言える第118回日展出品作、開会を待たず101歳で逝かれた書家としての歴史がしみじみと思い出された。前島泉洲顧問「松風」は芭蕉の句。どっぷりとした線でゆったりした風情ある。
高木厚人理事長「何となく…」は西行の森シリーズXI。今年の徳島書道文化館での個展で大々的なシリーズが始まった。山本高邨副理事長は、良寛の香りを残した独自の単字真仮名で万葉長歌を。同・秋山英津子は扇面、小・大色紙を屏風左右に対称に、かな美の展開で魅せた。瀬川賢一研究部長は6紙で山頭火の句を。簡朴な流れと空間で語る。襟立玉英董事は、写真に「浜辺の歌」を大きく配し情感を滲ませる。華邨賞は、爽やかな振幅の書線で調和ある安河内弘子が受賞。強弱の機微を意識した展開の井田智佐子もいい。枕草子の冒頭が柔らかに流れるセンスの良さは大原裕美子。面白いが少し切れも欲しい國枝良弘。渇筆の多様性探りたい小林幸子。「化城と寳城」からの『源展』挑戦の杉浦華桂。八木重吉の詩を言葉の構成でイメージする吉田博。(松)
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