月刊美術新聞「全日本美術」最終号(2026年7月20日号)より
桑田笹舟、三舟、田頭一舟と続く笹波会の流れを、原点の一楽書芸院に回帰し本年第50回展を迎えた。総務理事以上の役員は屏風作品が並びスケールの大きな展覧内容となった。ただ、田頭央涐氏が体調を崩され、療養に入ったため新役員人事での開催となった。
特に田頭一舟会長の四曲一双と寺岡棠舟副会長の六曲一双は別格の趣で、会長作品は手描き胡粉仕上げの紙に文字の大小比10倍ほどの展開で、大きな余白部を生かしたスペクタクルな書空間を演出し、一方副会長作品は全紙を5段組として暖色系と冷色系の心地良い色配に纏め、全域小・細字で流れを創った。正に静かな散らし書きの波の律動に圧倒された。中室舟水理事長は、沈みゆく太陽と昇る月重なる夕景の富士の強烈な背景画に赤人の「富士の山を望める歌一首」を浮かべた。大きな展開をおさえて単々と綴ったことが効果出た。いつも俳句も短歌もひとつで紙面構築する草野曽舟理事長代行だが、二曲一双の屏風創作から自作して古今和歌集の「明石の浦」(詠み人しらず/人麻呂の歌とも)から色違いの緑の料紙へと繋げる力作だ。副理事長に抜擢された秋山和也。珍しく淡墨作品で意表を突く。押しから引きへ、今後が楽しみだ。以下、受賞作を挙げた。細字から技巧派まで多士済々。何を表現したいのか、観者の眼をどう導くかが更に求められよう。(松)
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