雨宮敬子 彫刻展
● 10月12日〜18日
● 日本橋三越本店 本館6階美術特選画廊
彫刻歴60年を超える雨宮敬子の3年ぶりの個展。清らかな女性像の新作を中心に大作もまじえた10余点の発表。
彫刻家雨宮治郎の長女として生まれ、そこにいつも彫刻のある生活の中で育ち、ごく自然に彫刻家の道を歩き始めていたという。優れた男性像で知られた父、娘はそのほとんどに女性像をつくってきた。
雨宮の作品の女性たちはどれもごく自然で、何気ないポーズをしている。着衣でも裸像でも特異なポーズはとらない。それでいて、いや、そこにこそ彼女の目指し求めた普遍の美があるからなのだ。
例えば「想いで、春のまなざし」(h41・0× w11・0× d9・0cm)は、春寒に思わず上衣の襟を合わせようとしている。特別であったり、珍しい動作ではない。肝腎なことは、その一瞬を選択したこと、そのポーズに美を凝縮しようとした眼である。今の娘らしく脚はすらりと長いが、顔立ちはごく普通、むしろ古典的である。その顔をやや傾けて眼差しを下げている。それだけであるが、みずみずしい感性としとやかな情感が通い合い、清らかさが溢れている。雨宮の具象彫刻に通底する美学である。(中野)
