川崎 普照 彫刻展
―ブロンズと木彫―
■3月21日〜27日
■ 日本橋三越本店本館6階美術特選画廊
日本芸術院会員、日展常務理事の川崎普照氏の彫刻展。穏やかな愁いを含む表情のブロンズ作品と彩色された木彫作品が異彩を放つ30数点が呼応しながら同時に並ぶ特別の空間がそこにあった。しかし、本筋はやはりブロンズ作品だろう。
普照氏が本格的に彫刻に取り組もうと決心したのは27歳の頃。作家としては遅いスタートであるが、20歳過ぎからの木彫彩色の仕事を通じて平櫛田中翁の信頼と知己を得たことが、精神的な支えとなっている。直接の師系を持たずに斯界の最高峰に到達した作家は希であろう。義父、平野啓吉の彩色技術に独創を加味しながら田中翁が亡くなるまで20数年間その木彫彩色を続けられたが、彫塑をおこして自作の彩色木彫を制作するようになったのは普照氏が日展会員に就任した昭和44年以降からという。
一方彫塑からブロンズ制作にかかる現代彫刻にも天分を発揮する。「自然の造形の美しさ、人体はその中でも最も複雑でバランス美を持っている。だから私は自分の制作がその自然にどれだけ近づけられるか」という思いを貫いてきた普照氏、必ず等身大の彫塑から原型を造るダイレクトな姿勢と木彫彩色の究極の繊細さがベストマッチングしていると改めて実感した。(松)

振袖さん I

大日如来

親王雛
