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鉈彫り三昧
長谷川木彫展
鉈彫り三昧とは、長谷川昂氏を最も言い表した言葉であろう。今回の図録に、「″鉈は人間の歯と爪を助けて強靱な意志を貫き徹す″子供の時から木刀を作り竹馬を作り、遊び道具は何でも鉈の助けで自分で作り後には仕事の相棒にもなった。あまりに馴れ親しんで来たので人間までが鉈に似て来たのではないかと思われるが、切れる刃物は手先を助けて形を作るに適しているが、鉈は憶念を彫材の奥深く刻み込む祈りの助けをしてくれる。今では家族同然である。」との氏の言葉がある。1909年生れだから今年95歳。しかし、その作品から迸るエネルギーには素朴な慈愛が宿っている。荒々しい彫りと細やかな彫りの調和といったらいいのだろうか、その中に木にしか出せない温もりを感じるのである。氏は武者小路実篤の新しき村運動に共鳴し、文学と美術に目覚め上京。高村光雲に認められ佐々木大樹、内藤伸に師事。26歳で文展初入選後は官展・日展一筋に木彫人生を歩んできた。当初は星取り法で原形を木彫に移す制作を踏襲してきたというが、彫線の生命力に欠けると自戒したのであろうか、鉈での直接彫りになっていったという。今展の17点の中、特に「鳴沙」の何とも言えない奥底の響きに筆者も胸が締めつけられた。 (松)
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―木彫に宿る温もり― |