山中翠谷 書作展
―書に魅せられて―


● 11月22日(火)〜27日(日)
10時〜18時(最終日は16時)
● 東京銀座画廊・美術館7F

 

 独立書人団常務理事兼事務局長で毎日書道会総務や全日本書道連盟評議員などの要職にある山中翠谷氏がこの11月、満を持して40年ぶり2回目の個展を開催する。大作中心の新作23点が一堂になる大個展だ。ひと足早く画面上でその一部の作品を拝見することができた。そこには少字数による濃淡各体の書表現が、山中翠谷独自の優しく分厚い線条をともなって紙面に横溢していた。しかしあくまでも画像上のことである。縱8尺横12尺にも及ぶ「蒼穹」などは、この大紙面を目の前にしないと「線条の命」は決して見えてこないであろう。「親」にしても、うごめく濃墨の肌は直視することでその真実を見いだせるだろう。「順心」においては、その潤渇の尊さを眼前にして初めて知ることになるのではないか。他、8尺×12尺の山本有三「路傍の石の一節」や6尺×19尺の金文「大河滔々」など、大空間を支配する山中翠谷の情熱が会場を満たすに違いない。
 今回の個展は「学書の道に入る動機」、「親をはじめ人への感謝の念」、「未来へ発信する」という三つの柱のもと選文、制作したという。野球少年が高校三年時に書の道を志し、大東文化大学入学後、手島右卿に入門。当時学生中心の研究グループであった烏涕社に入会。初個展は32歳時、この烏涕社書展(1982年第13回展)の一角で開催した。1989年第41回毎日書道展会員賞受賞以来、毎日書道会、独立書人団の仕事に邁進し、埼玉県高校教諭の職責とともに常に人と対峙してきた山中翠谷。そこに生まれた感謝の念は未来を描く。乾坤一擲の時が待たれる。 (篠原)

 

 

蒼 穹 〈2400×3620〉

親 〈1530×1650〉

順 心〈1820×2780〉