第62回水穂書展
日比野 博鳳
「まそ鏡…(万葉集)」
京都のかな書名門水穂会の第62回展。今回展も五鳳翁、光鳳師の敬仰作品とともに第一室に役員作品が並び、多くの展覧者で盛会となった。
特に、強烈な印象を残したのは15紙を横断する大胆な五鳳作品。決して大作でないが、見ようによっては超大作にも見える。ひとつの文字が次の文字、行間、布置の流れを決めて流動する。一行目「人」が正にそうだ。思いの試行錯誤の末に漠然と、且つ心の淵におちる構想、そして毅然と紙に向かう作家自身を見るもう一つの眼がそこにある。書が時間芸術という証しの作品だ。光鳳師の「我がやどの」は則筆を使った柔らかな雰囲気。
池田桂鳳顧問は禅語の「把手共行」より。達観した心境がカスレの中ににじむ。日比野博鳳会長は万葉集から月の詠まれた歌を配した。よく書き込んでいるがメインを置きたい。以下代表理事8名から、上林三玲の細字・小字は品格ある。鶯色料紙9枚に石川啄木の歌を。土岐妍子は永福門院の歌3首を。単字と連綿の調和が心地良い。福島有何は良寛2首。思いきった破調も欲しい。藤本玲舟の墨の濃淡の響きが夏の白昼夢のような雰囲気。万殿紳水、山本万里の大字、山本三千代、吉見靖子も自風を模索。(松)