第20回千歳会刻字展より
20回を迎えた千歳会刻字展から薄田東仙会長の作品を紹介する。最新作「陽光」。「皆に陽が当たるように」との願いを込めて制作したと言う。篆書の陽刻、簡潔な鑿の跡、彩色も簡明だ。横には原書も添えられている。自書自刻こそが刻字作品の精神。青山杉雨、長揚石に師事したからこそ、この思いは人一倍であろう。そして何よりも薄田氏が求めて止まないのが「書を世界のアートに!」のフレーズだ。これは金子卓義氏からかけられた言葉。生前卓義氏が盛んに取り組んだ海外へのアッピールを薄田氏は刻字という表現手法で訴えようとする。だから海外の大学にも積極的に出向き、刻字の面白さ、楽しさを伝えてきた。ところがコロナ禍の到来や世界各地で勃発する紛争に足止めも喰らってきた。ようやくコロナ禍を抜け出たと思いきや大国による侵略は依然と続き、また新たなそれも発生している。薄田氏の今作はそんな歯痒い世情に向けた一縷の光のようにも思えた。 |
陽 光〈300×300〉 |