松本宜響書道展
−自作漢詩・七絶を中心に−


●2月25日〜3月1日
●銀座・東京鳩居堂4階画廊

 

 貞香会参与松本宜響の東京での初個展が開催された。自作漢詩・七絶を中心に約40点の展観。
 貞香書展で見る宜響の大作は甲骨文・金文を素材に時に頑強、時にユニークな造形と折々の顔を窺わせてきた。それは地元花蔵院住職も務める人間松本宜響の懐の深さそのものと感じてきた。そして今回の個展。会場を埋める軸、額、屏風、巻子。そのほとんどが自作の漢詩というから驚いた。しかも、漢詩は「ゲーム感覚で作る」らしい。まさに目から鱗。そこには「スマホ」が登場する。「平上去入はスマホです。平仄アプリが用意され。しっかりチェックをしてくれます」筆者の目の前でその実際を実演する宜響。なるほど、小さな画面がものの見事に教示してくれているのだ。宜響は「だれにも書道の楽しみは開かれている」と言う。困難とされがちな漢詩作詩においても、現代の文明の力を借りれば何とかなるという、柔軟な発想に辿り着くところも宜響の人間力なのだろう。「筆墨硯紙」と「スマホ」。昔と今の文化を事も無げに融合させ、そこに新たな文化が生まれるとしたら、これほど楽しいことはない。会場の空気は松本宜響一色なのである。
 「孤燈一穗愛閑居 几案研屏塵垢流 禿筆臨池千古意 應求甲骨鼎鐘書」(それでは早速 甲骨文・鐘鼎文字といってみましょう)「東風氷解」「樂事賞心」「書心畫」
 行書軸に呼応させた紺紙金泥作。詩に従って書かれた甲骨文、金文の姿。左上には拓本も見える。
 「端午軒窓旅客風 晝陰簷鐸響丁東 瑠璃唐草一齊發 山外青山盡碧空」
 瑠璃唐草(ネモフィラ)の花が天まで続くさま。写真も生きている。 栃木県書道連盟会長/毎日書道展審査会員 (篠原)

孤燈一穂愛閑居詩〔軸〕

 

 


孤燈一穂愛閑居詩他〔額〕

ネモフィラ−面〔額〕