米壽記念
菅野清峯書展


● 12月13日〜17日
● 兵庫県立美術館王子分館 原田の森ギャラリー

 

 毎日書道会常任顧問・奎星会最高顧問の菅野清峯氏が昨年末に米壽記念の書展を開催した。原田の森ギャラリー本館2階の大展示室と同1階展示室に東館1階を使った大規模なもので、個人の作品展としてはこれまで
で最大規模のものとなった。
 本館2階はすべて仕切りが外され、広大な壁面に最大242×121cmの「餘」2点対と「翔」「随」の超大作を含む近作37点、その中央に貫名菘翁「私擬治河議」「史晨後碑」懐素「自叙帖」の臨書が並んだ。正に圧巻。その近作より「想」の対作品を挙げた。概して墨象系の書家は、同じ文字をイメージの違いで表現するという手法をよく用いるが、画家が同じ風景を一日の時間帯で描いたり、季節を違えて描くのにある意味通じる。ちなみに、濃墨の「想」は強く心に刻まれた想いであり、渇筆で爽やかに流れる「想」は、例えば初恋のように嫌な事が排除され、良い記憶の断片として心に残る想いの表現のようだ。作家の純真さが伝わる作である。
 本館1階には1950年(21歳)の時の屏風作品「五言古詩」と「臨左繍叙」〜2015年制作の「無限」まで年を追って〈懐古作〉59点が展示されたが、67年前の「臨左繍叙」の松煙墨の澄んだ色と一途な書学姿勢に驚かされた。
 そして更に驚きの展示が東館1階の「愛蔵品展」であった。呉昌碩3点、齊白石2点、貫名菘翁18点、頼山陽2点、師の上田桑鳩7点、同・宇野雪村4点をはじめとする書画80点。碑法帖33点。古硯50点。田黄8点を含む古印材82点。文房諸具41点。乾隆墨2点を含む古墨20点。特筆は貫名菘翁の収蔵点数で100点以上の収蔵からの選定だという。展示作18点も41歳の作品から絶筆に近いものまで年代順をおっての展示であった。愛蔵作品からも2点を挙げた。
 清峯氏は1929年兵庫県加東郡滝野町の生まれ。更なる健筆を祈りたい。    (松)

 

想―II 90×120

想―I 120 ×90


〈愛蔵品展より〉 貫名菘翁 七絶(70歳後半)

〈愛蔵品展より〉 頼山陽 七絶(51歳)