全日本書芸学院(西野象山会長、西野玉龍理事長)主催の心象書展が、第50回記念展を迎える。象山氏と玉龍さんは周知のとおり御夫妻であり、共に仏教大学を卒業している。時を同じくして象山氏が傘寿、玉龍氏が喜寿の年齢にあるのは何という巡り合わせか、祝事が3つ重なる大慶である。
さて、西野象山傘寿の書展のメインテーマは自分の人生観と波長が合った「前田純孝」である。氏のライフワークとして純孝の歌を書作品に発表し続けて53年になるという。上掲の8mにおよぶ大作は、象山氏の作詞、歌でレコーディングしたもので、筆者も初めて象山氏が五木ひろしと同じレッスンを受けた歌手であったと知った。22歳で木村知石に師事し、逝去後に金子鴎亭に師事(44歳時)したが、毎日展「会員賞」受賞時に「君は歌をとるのか、書をとるのか」と鴎亭氏に尋ねられたとのエピソードも聞いた。今展の殆どが近代詩文書だが、屏風仕立ての漢字作品も挙げた。他、白秋の「この道」の抒情感の深さが印象に残った。
一方、玉龍さんは26歳で近藤攝南(漢字)に師事、その後に深山龍洞(仮名)にも師事しており、象山氏の影響を受けながらも玉龍独自の感性でスケールの大きな世界を築いている。今回「藤村」をテーマとしたが、超大作「夜明け前」「破壊」は真に圧巻。作品的には「椰子の実」の捌きと空間リズムにより魅かれた。充実の二人個展だ。(松)
