二宮奇龍書作展
●8 月23日〜28日
● 銀座 清月堂画廊2F展
二宮奇龍三回目の個展。平成14年の銀座、17年の松山に続くもので、今回は満を持しての開催となった。
奇龍は愛媛県伊方町生まれ。小学校高学年の頃から将来は書家になる夢を持ち、五十年の歳月が流れた。その間、大東文化に進学。村上三島、大島岳山に師事。師亡き後は石川芳雲に叱咤激励を受け、現在も日本書道学院副学院長として活躍する。奇龍を「多年の盟友」と位置付ける石川芳雲が寄せた言葉に次の一文を見る。「その作風は剛毅にして華麗、生まれ育った伊予の漁樵の気骨と、都会人のエスプリとを併せ持ち」とある。なるほど奇龍の書を言い得て妙なる言葉だ。今展出品35作の根底にも流れる奇龍の人間像と言ってもいいだろう。その実、澄んだ線にして骨力を有し、紙質、紙色と融合させた墨艶は品位に満ちている。奇龍の生きざまだからこその墨の跡。
8点を掲載した。半切横二段の「呉蘭雪詩七里瀧」は墨量が多く、豊潤な味わいがある。紙の紋が墨に透けて見えるところも表現効果となる。「白居易詩句對聯」も紋と明瞭な行書単体が合致して颯爽とした書。「沈朝初詩過塘西」の絹本に流れる流麗果敢な連綿。一方、「萬鶚詩新菴」では強靱な線の連動を見せる。「鴻嘶」は線中の磨墨色変化が美しい。「李彌遜詩句」は清代蝋箋を使用。紅に燃える紙質に墨痕が浮沈する。故郷伊予を慕って書した巻子三句。子規や東洋城が現代に蘇る。
読売書法会理事・審査員/日本書道学院副学院長/他 (篠原)

沈朝初詩 過塘西 絹本 160×35cm×2

白居易詩句對聯 138×35cm×2