生誕120年
桑田笹舟展
● 5月12日〜7月26日
● ふくやま書道美術館
連携企画「桑田家コレクション_古筆の美」
● 5月12日〜6月28日
● ふくやま美術館
今年は、福山市の名誉市民であった桑田笹舟氏の生誕120年を迎える。
その機に合わせて笹舟翁のお孫さん、田頭明子さん(桑田三舟氏息女、田頭一舟氏御内儀)より桑田家コレクションと笹舟作品96点が福山市に寄贈された。その寄贈作品をメインに「生誕120年桑田笹舟展」と連携企画のコレクション展が4月に開催されると聞き及んでいたので、その開催を楽しみにしていたが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う、全国緊急事態宣言が4月16日に発令され、4月25日からの開催の延期を余儀なくされた。
が、全国の終息状況と広島県の実情を勘案してふくやま書道美術館では、5月12日〜7月26日の開催を5月9日HPに発表した(ふくやま美術館でのコレクション展も同日再開し、6月28日迄)。
一部の8都市を除き全国的解除となった5月14日、まだ県を跨いでの移動の自粛はあったが会場に伺った。新幹線はガラガラ、1車両に5〜6人。そして会場は筆者ひとりの占有空間(約2時間)であった。贅沢な展覧環境の中、昭和12年頃の作品から平成元年の絶筆作品「有難」まで備前焼作品を含め74点(内個人蔵13点)の作品を心ゆく迄堪能した。これだけの笹舟作品を一堂に拝見したのは、筆者の記憶を辿ると昭和63年神戸そごうで開催された米寿記念展だが、恐らく「長谷寺縁起文」「写経」や号南鶴で書された楷書/行書、荻生狙来の隷書「揚子法言序」の漢字作品は初見であり、梅に小岩を配した庭の料紙大空間に「をりにこそよれ」の7文字を、究極の放ち書きで神韻性を持たせた笹舟の真骨頂に足が止まる。版木からおこした大和絵の料紙は今も静かな趣を含んで文字と調和の時を刻んでいる。三色紙を笹舟調にアレンジした繊細な作品から本阿弥光悦調の風趣ある「世の中」など古筆に準じた逸品にも見入ってしまう。光悦といえば、「月に萩・蔦下絵古今集和歌巻」等に触発された笹舟作「日月」が思い出されるが、一方で、「大字かな運動の七人の侍」の中心的作家でもある。四曲屏風の「四季の歌」も大字かなの重厚な響きで、漢字作品に負けない趣が感じられたが、紹介作の「このみゆる」には正直驚きを禁じ得なかった。これが同じ人の作品かと。内に籠る熱情が一気に筆にのって叩き付けられたような迫力、情感の深さ、大きさが伝わってくる。
会期残り僅かとなったが、是非とも一見されたい。(松原)
