永田翠幸 安藤京幸 二人展

 

 米本一幸に師事する二人。師の勧めもあって、初めての二人展開催となった。二人はともに毎日展審査会員、あきつ会常務理事の要職を務め、目白会、幸風会でも活躍する。年齢もほぼ同じ。米本師は「二人は大変仲が良く、各々持ち味があって」と言うから名コンビなのである。そんな二人の各々書歴五十年の研鑽が今、花開いている。
 永田翠幸13 点、安藤京幸14点の出品の中から、それぞれの代表的な1点を紹介する。まずは永田の蕪村句。大字、小字ともに素直な線条が持ち味だが、この作は特にそれが生かされている。簡潔な構成だけに線のありようは直に観者をとらえる。潤渇の対比はもちろんのこと、すっと伸びゆく渇筆線に清らな心情さえも表われ、仮名書の奥底を垣間見るようだ。安藤は紫式部歌を挙げる。王朝切り継ぎの雅な料紙に扇面貼り。散らしより行がきを好むと言う作家らしく、その凛とした書きぶりは緊張感に包まれている。料紙、扇面の色合いと柔らかな墨色の融合も作品の品格を高めた大きな要素だ。
 他にも、桜色の紙に青墨系の颯爽とした線が映える永田の半切作品や藤色に箔を蒔いた料紙に連綿行の塊を乗せて王朝美を謳う安藤の作品に注目した。(篠原)

 

菜の花や…(蕪村)   永田翠幸