第11回娯輝文會展より
代表
井谷 五雲
●12月11日〜13日
● 兵庫県民会館アートギャラリー
日本篆刻家協会の理事長に今年1月10日付けで就任した井谷五雲氏。その就任直前の第11回娯輝文會展である。
宋の柳永「望海潮」と乾隆御製「燕京八景詩」、徐渭「楊妃春睡圖」の三詩を会員57名が分刻して三巻に纏めた他、井本雅士の扇面「凹凸巣十二景印艸」、出田塘葭「十竹齋梅譜印艸」、池本古凜「皮日休詩 館娃宮」、稲垣華扇「薛濤詩四首」などが印象に残った。井谷代表の「書」の闊達さは周知の通り。会員もその影響を受け書に腐心しているも、まだ落筆位置が低く露法が多いか。
井谷代表は今回、大學章句より共感の五則を選んで、その語句の一部を印稾としてひと捻りした「如悪悪臭」、「毋自欺」(也)、「十目十手」、「不畜牛羊」、「寧有盗臣」を出品。内、2点を紹介した。「毋自欺」の左部を大きく余白とした大胆な構成、印刻を書に展開した跋文が強烈な流れを創って思わず立ち止まる。白を際立たせた中に気韻の流れ爽快な印影、側款が映える。この三字の前に「所謂誠其意者」が入り、いわゆるその意を誠にすとは、みずから欺くなきなりと自身の理念を謳う。「如悪悪臭」の朱印も如の空間と二つの悪の対比が面白い。この句は「如好好色、此之謂自謙、故君子必慎其獨也」と続く。充実の展観。(松)
