第61回白鴎書道会展
中村 天馨
「うつりゆく…」
昨年の記念展より一週間早い開催となったため、なごり桜が健在で熊本城横の会場へのアプローチも華やかさが残っていた。が、熊本城の石垣復旧は遅々とした歩みでひとつひとつ石を検証しながら別広場で並べられている。ここまでやるか! と思う反面、凄いと改めて感心しつつ美術館を訪ねた。
61回展を迎えた白鴎書道会展。先ず創設者の中村龍石の深みある流れと中村天香の華麗な線の作品が迎えてくれる。今更に白鴎のルーツだと思う。
今展より14点を挙げる。中村天馨会長は3点の内大伴家持の「うつりゆく」を。山形のなだらかな構図で潤渇対比が効いて立体感を醸して風情ある。柴田多計子理事長も3点出品の中、良寛の歌「もも鳥の…他」を。書出し部分の段変えの構成の余白が流れを導く。井上清江副会長は百人一首抄を天智天皇から19首を屏風に。同・松岡洋子は柿本人麻呂「天の海に」の一首を縦ちらしに纏め上げた。同・中村紫藤は源氏物語紫の上から「水鳥の」。線質強く、心動く様をとらえる。唐牛廸子「山の端」は二首目を展開部として視点を繋ぐ。知久順子は金槐和歌集から11首を水色2段の料紙に清々しく展開した。真弓由美子は芭蕉「笈の小文」から二句を縦二段に散らした。石川汀香は山家集より縦への一首書き。白鴎賞=大野律子、野口賞=本保雅子、努力賞=大村悦子 他、川上英子、前川季子を挙げた。
(松)
