第60回記念白鴎書道会展

 

中村 天馨

「更級日記(六曲屏風部分)」

 

 中村天馨さんが会長として頑張っている熊本のかな書道の名門、白鴎書道会の第60回記念展が開催された。創設者であり、昭和59年に日展会員賞を受賞されている実力者・中村龍石氏と二代会長で才女の奥様・中村天香さんを顕彰した「中村龍石・中村天香遺墨展」が併催され懐かしさで暫し足が止まったが、夫々2点を紹介した。「花園の」は、昭和57年に「昭和かな手本源氏物語精選歌集」に収められた1点である。天香さんの細字、小字は今尚新鮮な書線が香る。
 さて、今展より幹部作品と受賞作を挙げた。中村会長は「更級日記」の冒頭『門出』の一節を調和体で口調を繋ぐ。柴田多計子理事長は、今話題の源氏物語を密に書したが、家持の歌の晴れやかさある赤い扇面を挙げた。井上清江副会長は唱歌「鯉のぼり」「椰子の実」を3段にリズム良く配した。中村紫藤副会長の扇面「手に摘みて」は藤壷「若紫」の意味深い歌をさらりと書した。唐牛廸子副理事長は朱と白の紙2段で視線の対比変化をつけた。13 首の流れ良い。同・知久順子も2紙の色変化を生かし、山家集19首を巧みな余白呼応で綴った。智恵子抄を単々としたリズムで一貫して情感深い同・藤本世紀子も。受賞作の川上英子、坂本圭子のも力作だ。(松