第27 回 産経国際書会代表展(大作展示)より
「柿本人麿 天を詠める」
● 1 月23 日〜 2 月4 日
● 国立新美術館
副理事長 渡邉 麗
万葉集に収まる柿本人麿の雄大な歌が、書家渡邉麗の呼吸で、そのリズムで線条と化し、球体の大きな世界を形成して一つの小宇宙を作る。今年の産経新春展の代表展に発表された超大作を紹介する。六尺大画仙の6枚つなぎ。6枚のパネルを組み合わせているところがかえって立体感を増幅させる結果になった。
渡邉麗さんと言えば、昔日より「現代書の理念」を高く掲げ、ひたすらその制作に邁進してきた。筆者の知るところでは、時二十五、六年前に遡る。その頃既に渡邉さんの書へのアプローチはかなり幅広い域に達し、「こんな表現手法もあるのか」と衆目は期待を膨らませたのである。その一つに銅板やブロンズプレートを用いた「書の三次元」的表現があった。紙墨では味わえない独特のムードがモダーンを漂わせ、日々発展する住空間にも適合しえる書のあり方を窺った。つまり現代書とは、時代を生きる人々にいかに受け入れられるかを模索すべきなのである。今作の悠然としたさまは、混沌の世情を裏返すかのように迫りくる。(篠原)
