貴方へおくる人生への讃歌
第34回 田中穂積 作品展(書画・陶他)
■5月22日〜27日 ■ギャラリー アライ(西宮市甲子園)
毎年「一期一会」を心に秘して個展を開催してきた田中穂積氏の第34回展。
今年の案内状に添えられた手紙に、「小生二月末から三月にかけて初めて異国旅行をしてきました。エンマ様にも見放され急拠五月の個展のテーマを〈貴方へおくる人生への讃歌〉として製作にかかりました」とあった。本当は意識不明で数日間死地をさまよったということを会場で聞き、更に驚いたしだいだったが、穂積氏は平然と一期一会の深意を語る。それは感動する文章に出会ってもらいたい、そこから更に自分の人生の幅と奥行きを深めてもらいたいということであった。私たちは意味も分からず漠然と言葉をつかっている。乱れた言葉が心まで滅ぼすということだろう。
氏の畏友、永楽孝一氏の詩集「掌詩」より「ケルンを積もう」は調和体作品としても、奔放なリズムでスキのない佳作だが、積まれる大小の石を人生に喩える。もう一点の良寛の歌は穂積氏のかな書の上質を感じさせてくれるが、ここでも「すみわたる」の語意に言及し、日本人の清浄志向の価値観を呈示している。 (松)
