桂紅会書展より
〈百一歳の書の境地〉
主宰
崎 華 祥
七面カラーで紹介している第48回桂紅会書展で主宰の楢崎華祥さんが、3点の作品を出品された。それぞれが異なる様式で書されている。が、それらは文字と言葉が「書」で自然に繋がれた風情で、書き手の意識と共にあるようだった。
中でも紹介の「愛」は、筆者の知る限り初めて拝見する一字書である。絶妙な淡墨が微かな滲みを伴って悠揚な呼吸で動く筆捌きは、これしかないという筆圧と運筆のせめぎあいから生まれている。だから、料紙からの反発もなくゆったりとした空間をたゆたふようだが、存在の言霊としてあり続けている。本作は永谷園の永谷氏に以前から依頼されていた作品。百一歳に書かれた最新作。表具も華美を押さえて品格あり、正に境地の一作といえよう。落款印の位置も微妙さを演出する。(松)
