第40回春の小品展より
(主催 凌雲会・国書展)
会長
津金 孝邦
凌雲会恒例の春の小品展から津金孝邦会長の調和体作品を紹介する。出品三作は中央に五絶行草、右に今作、左に少字「横笛」と並ぶ。額の装いも統一され連動感が強いが、津金会長は三種の表現の違いを強調する。中でも調和体への思いは一際強いのだろう。津金寉仙の主唱した「昭和体の書」を孝邦は「改新の精神」と学び、それを「継承して行くことが我が会の仕事」と断定する。昨今の書壇で話題になることの多い「読める書」の普及。いろいろの様式が試され検証も加わっているが、漢字や仮名のように規範美がないため傑出した作も生まれにくい。しかし国文の書表現こそが書の新たな価値を創出することを誰もが認識しているだろう。だからこそ孝邦は使命感に燃える。
今作、萬葉の抒情歌二首をあたかも一つの歌のようにつなぎ書く。悲恋と抒情が交錯する紙面。字の流れに言葉が乗り、背景を浮かばせる。「空際盤繞」書と言葉が紙外の風景をも想起させるような大きな世界観。「横笛」を聞く従軍北征作にも呼応している。(篠原)
