第39回有秀会書展より
主宰
三上栖蘭
−書と写真 鮮やかな音感−

 〈「音」のバリエーション〉をテーマに開催された有秀会書展より、三上栖蘭主宰の「潮騒」を紹介する。今展には友情出品として写真家栗原秀逸氏の「光と影」が展示された。夕陽に染まる夕凪に立つ親子の黒い影。余計なものは一切ない。ただそれだけの一瞬の映像。時を切り取るフォトグラファーのハイセンス。三上さんの「音」が閃いた一瞬でもあったのであろう。コラボレーション「潮騒」。三上さんのことだから、おそらく直ぐにこの画像が想起されたことだろう。栗原氏の凪に合わせるかのように鋒の波を描き、波間に隷書風の潮騒字を浮かせた。マットは鮮やかな朱のグラデーション。フレームにはシックな木目調を使った。同展がずっと掲げてきた書のさまざまなありようを問うテーゼに果敢に挑んだ作だ。 (篠原)