篆刻界期待の星

日展および現代書道二十人展より

河野  隆

 日展、読売展、現代書道二十人展など書道界を代表する展覧会に、常に精力的な作品を発表し続ける篆刻界の気鋭河野撃フ二作を取りあげた。河野の印影は、線の切れの鋭さが如実に見てとれる。その実、運刀は細部まで握刀で刻し続けるらしい。そして刀法の信条は「思い切り」だそうだ。なるほど長画の冴えや直線の緊張感の源泉はこんな単純なところにあったのだ。しかし刀を握ったことのある人ならば皆理解できるであろう、思い切り切ることがいかに至難であるかが。河野の作品は側款の拓を見せることがよくある。実にいい字だ。単入刀法で独自の野性味を目指していると聞く。その為にも筆の速さと同じスピードで運刀して、石の響きを生かすのだと。ここにも前述の「思い切り」が潜むのである。
 日展出品作は語意を表出するかのように曲線を多用して、うごめく人間の心情を表現する。二十人展の一行はすかっとした清冽。見応ある。4月24日から6月20日まで、故郷大分県臼杵市中国陶瓷美術館において個展が開催される。篆刻、書、画の150点の予定。(篠原)

 

 

 

                        

第41回日展より
翦不斷 

 

 

第54回現代書道二十人展より
大象無形(老子)