追 悼
日展会員 河野 隆 氏の早世を悼む

 

 今でもまだ河野隆さんから電話が来るような、また、こちらから「久しぶりに是非飲みましょう」とお誘いしたい気持ちになる。でも、もう彼はいない。15年ほど前に偶然お話できる機会(晨風会展・祝賀会)を得て、以降年に幾度となく篆刻世界の環境や技術、鑑賞法などを窺うことが叶い、筆者自身篆刻に深い興味を持つことが出来た。
 今回の日展作「神安氣平」も、「十字界線を施した4区格の中で、余白の引き締めと朱白のコントラストの変化を求めました。」とのコメントを日展開催に先駆けて頂いていて、日展初日(11月3日)に作品に出会い、祝賀会でお会いすることを楽しみにしていたのだが、まさかその日がご命日になるとは…。
 日展の最終出品作となった「神安氣平」の語の出典は南宋の詩人、陸游の七言律詩「美睡」からか。「老來胸次掃崢?投枕神安氣亦平」から同じ意の4字を抽出し、「年老いて心のわだかまり、つかえも取れ、精神が安らかであるから気持も静かで不平もない」との詩意を込めた。享年69歳、河野隆氏の早世に哀悼の意を表したい。 (松)

 

 

 

台湾個展「臨 王鐸」の前で

神安氣平(改組 新 第4回日展出品作)