第26回東京水穂会書展より
会長 日比野 実
月あかり 『万葉集』
第26回東京水穂会書展より、会長日比野実の「月あかり�vをピックアップさせていただく。
万葉集巻第十「冬雑歌、花を詠める」2325番の歌「多可そ乃ゝ 宇免農花所毛日さ可多の…」。「清らかな月夜に、どこの園の梅の花がひらひらとたくさん散ってくるのでしょう」との意である。
変体かなを流れに巧く取り込んで、上句と下句の呼応を引き出した作品だが、冬景色をイメージした文様の紙に歌が心地よく流れる。
以前は、少し用筆に堅さを感じていたが、4年程前から起筆のはねるような捌きが押さえられ、しなりの中に柔らかさが感じられるようになった。その成果が、第4回日展の東京都知事賞に結びついたといって過言でない。今作はそれにも増して、切れの良さが醸す空間感が出て新たな境地を生み出した感がある。
この歌の相聞としたい歌が2349番にある。セットで書いても面白いかもしれない。(松)
