第57回水穂書展より
会 長
日比野 実
令和元年6月、第57回水穂書展の出品作より、日比野実会長作品を紹介させていただく。
今回は、若山牧水の歌三首を三連の軸作品として発表した。いかにも京都らしい品格ある表具で、且つ料紙の色の組み合わせもしっとりとした雅を保ち調和ある。右軸「東風ふくや」は、大正10年に詠まれた〈雲雀〉五首の内の一首。中央に余白をとり、強い「今」に視点ポイントを持たせた。中央作品は、大正15年に詠まれた〈松風〉三首の内の一首。老松を通して吹く早春の風を詠じた歌。三連の作品とも寸松庵調に準じているが、この作品が最も自然に行が流れている。そして左軸「花見むと」は、大正6年の〈桜〉十一首より。中央の余白は右軸と同じだが「婦る」の散らしが空間を隔てた次行とよく呼応している。三首の関連性があれば、より面白い。
現在、日展会員。(松)
