中 島 司 有 書作展
宮内庁文書専門員として昭和42年より天皇、皇后両陛下のおことば、ご親書など、重要文書などの揮毫を拝命し、その楷書を入江侍従長に絶賛されていた中島司有氏が逝去されたのは平成14年。今年7月15日で早7回忌を迎える。
弊紙も岡山時代から「中国美術史」の執筆をいただき、長期連載させていただいていたが、國學院大學で書学の教鞭をとり、「藤原佐理研究」で文学博士の学位を取得し、学者、研究者としての大きな側面を持ち続けていた希有な書家であった。
書家としてのデビューは衝撃的で、昭和24年、21歳で毎日展かな部で最高賞、翌年の日書展で最高賞、文部大臣賞を受賞し新進の精鋭書家として将来を嘱望されたが、突如、昭和27年NHKに入局、アナウンサー7年、演出6年と13年間を務める。この体験が独自の書学・書道哲学を開花させたと思える。日本文字文化の中、「『文字とことば』を関連させて、歴史的、理論的、科学的面から追求」する必要を提唱、自らも現代書道研究所を設立し古典の臨書を核とした日本書展を立ちあげた。これは、文字文化を科学的に追求するための「書学」の先行を具現するための指針であった訳だが、司有氏自身は広範囲な書学、美学を基底とした書作展(個展)を昭和49年より実施し、「書」の表現の可能性をどん欲に追求していくのである。アクリル、油絵の具、発泡スチロールを使った立体書の出現は正に衝撃的であったが、NHKの演出を経験した司有氏には既に折り込み済みの懸案であったに相違ない。
また、海外展も積極的に推進。北京の歴博、上海博の現書研主催の書展・個展、カンヌでの講演会、マントン市での個展には筆者も同行し、貴重な経験をさせて頂いた。それらの活動が評価され、平成5年芸術選奨文部大臣賞を受賞、平成13年勲四等旭日小綬章を受章した。
逝去の一年後、門下生による中島司有書作展が開催され、今後も定期的な開催をするとの佐伯司朗現書研所長より発表があったが、昨年、「中島司有と書の世界―やさしき阿修羅」を発刊、そして黒の紙に白字の超大作の自作詩「阿修羅讃歌」を中心とした氏の代表作93点による今回の第2回展開催となった。司有氏の広大な書の世界を再確認した書展となった。 (松)