第35回記念唱和会書展より
― 書画同根の精神 ―


会長 福田 丞洲

 

 王羲之十七帖清晏帖の臨書である。確かに草書の名帖十七帖の骨格ありありと伝わりくる。しかしそれにも増してこの墨の濃淡の具合は見る者に不思議な感覚を呼び起こさせる。特に薄い渇線、連綿からのそれであり、あるいは一字中のそれでもある。よくよく尋ねてみると作家の作書作法であった。福田丞洲の執筆時には墨とともに水の池を用意し、筆毛に含墨した後、更に水を含ませて書くらしい。言わば水墨の調墨にも似た工程だ。こうして書かれた墨線は今作のようにはっきりとした濃淡の軌跡を生む。なるほど絵も能くする福田らしい執筆は明らかに作品の独創性を高めている。「水の芸術」と自身が称している所以がこの辺りにありそうだ。書画同根の精神とも言えるだろう。
主宰する唱和会は35回展を迎えた。古典尊重の会風は不変であり、この作もその象徴として輝く。(篠原)

 

 

清晏帖(十七帖)