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第30回記念 紫苑の会書展より ―和紙の風韻と流線美− 主 宰 大石三世子
「ここにして家やもいづく白雲のたなびく山をこえて来にけり」万葉歌の題材が30回の記念展に相応しい作風を創出した紫苑の会主宰大石三世子さんの出品作である。幾山を越えてきただろうか。しかもそこにはいつも白雲がたなびいている。帰る家の方角もわからないくらいに。大石さんにとってこの30回は懸命の歳月であろう。大石子師の教えを常に根底に持ちながらも時代に即した表現開拓にも意欲を見せてきた。つまり本来の仮名は肩幅の世界で見るもの、見せるものから、より視覚に訴える「大字かな」への変遷。時代が求めていたことへ立ち向かった年月ともいえるだろう。しかし大石さんの線条はぶれなかった。奇を衒ったような線を見たことがない。それは師から受け継いだ根幹(帰る家)が確実に存在することの証左でもあろう。今作、マット部にあしらった石州和紙の風韻と大石さんの直情の流線美が合致。白く明るい。
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「ここにして家やもいづく白雲の…」(石上卿) |