四季の情景を
古稀記念展
大石三世子 書展
● 11月18日〜22日
● 有楽町マリオン 朝日ギャラリー
書業50年、大石三世子さんの古稀記念展が開催された。大石隆子遺作3点を含む38点の出品。
師であり母である隆子氏から「外連味よりも、品格を大切に」の教えを受け、一途に目指す仮名美を追究してきた。「大字かな」隆盛の時を迎えても、三世子さんのそれは仮名の根本を見失うことなく、あくまでも素直に自然な線条を第一としてきたのもよくわかる話である。また師の理念であった狭い世界に宿る本来の仮名美に対しても、深い思いを抱いていることだろう。その証左ともいえるのが、かな料紙研究家福田喜兵衛氏製作の料紙提供が今展開催の切っ掛けになったこと。福田氏といえば御物粘葉本和漢朗詠集複製本作成などで知られ、料紙製作に優れた技術を発揮した人。三世子さんにとっては絶好の機会を与えられたことになる。最高の紙に仮名の真理を表現できる嬉しさがきっとあったであろう。金銀箔がちりばめられた華麗な料紙に四季の情景歌が書かれた10点は王朝文化の香りを漂わせる壁面となった。
大作では三十六歌仙貼りまぜや枕草子横巻長尺、掲載の山家集歌に大石三世子の本領を窺った。いずれも静謐で沈着の間がある。
日展会友/読売書法会理事/栴檀社理事長(篠原)

冬ながら…(良寛)
