二〇一三年 下谷東雲生誕一〇〇年
書泉会創立五十周年記念展より


主宰

下谷 洋子

 

 書泉会50周年記念展から、主宰の下谷洋子さんのセンス抜群の作品を紹介する。下谷さんの仮名は最近殊に注目を浴びる存在となった。この繊細で鋭利な線条を巧みに操り空間に共鳴させる力量は、特に関東かな書壇において貴重な人材と言えよう。
 下谷洋子の最近の仮名作品には「色」がよく似合う。しかもそれは原色であり、もしくはそれに近い混色。
 今春の書道芸術院展の大作も青を基調に静寂を装い、その中に墨の強い線の連綿が降り注いでいた。今回のこの作は何と言っても濃い緑が作品全体を覆い、紙の白を際立たせている。末行は紙色を変えてアクセントを高め、マットの緑に視点をつなげた構成。絹本に墨がよくのって鋭い線条を生み出し、空間を斬るように舞い飛ぶ。引き締まっている。更に印を見ると、細線を駆使した横に長い形。用印の妙と評したい。
 良寛歌の如月の雪への思いが、下谷洋子のセンスと線で書きだされた仮名書の佳品である。毎日書道会評議員/書道芸術院常務理事/書泉会主宰 (篠原)

 

     

如月に…(良寛) 90×180