下谷洋子 かな書展
―沈潜と流れ―
■10月5日〜10日
■東京銀座画廊・美術館8階
毎日書道会評議員・企画委員、書道芸術院常務理事として、毎日系のかな書家として今最も注目度の高い下谷洋子さんの個展が、新装なった東京銀座画廊美術館8Fにおいて開催された。
下谷さんは東京芸大の書道科卒。伊東参州・西谷卯木、榎倉香邨に師事し、読売系に所属していたが、事情で毎日へと移った経緯があり、相当な軋轢の中もち前の向上心に支えられた実力で現在の地位を確立した。「沈潜と流れ」をテーマとした展覧となったが、細字・小字系は榎倉氏の風合いを継投し、大字、調和体に情感と自身の感性が込められている幅広い展開で魅せた。
鴬色の紙に繊細な小字は武田信玄の歌。潤筆と渇筆の流れの中での呼応が図られ、雄大な流れで構築された。一方、正木ゆう子の句をかな構成を意図した近代詩作品は現代の息吹があり、注目した1点である。圧巻は高島裕の歌を2.4mに横展開した超大作。じっくりとした書線の切れに余白の美。今後も目が離されない。(松)
