思郷書展21

■ 3月17日〜22日
■ 銀座・鳩居堂画廊4階

 98年9月のパリ個展で絶賛されてから早10年が過ぎる。その翌年、郷里福島でのパリ展の移動展、03年の福島民放社主催で福島県教委、福島テレビ他が後援した「家郷展」、そして尾瀬国立公園の独立指定に因んだ07年の「去年今年展」の企画展を挟みながら、年1回の銀座鳩居堂での「思郷書展」を続けてきた。その書芸の深奥に向かう心韻の強さは益々軒昂である。
 丹治氏は1923年福島県東和町の生まれ。早稲田大学卒。1943年に金田心象に師事し、1960年に日展会友となったが、1973年に文部省に入省、その後兵庫教育大教授を務めた。個展を思い立ったのは、姫路独協大に非常勤として勤務した1989年からと聞く。この頃「書とは文字に命を宿すもの」との定義を導き出し、書美の探求に個展を決意されたと思われる。昨年の個展の折り、「書美は時の場を貫く心棒の如きもの」と語られているが、今21回展にその思い更にと「更進」が煌めく。万象の奥の奥を深望するような「玄之又玄」、「無畔」他、桜の絵が浮かんでくる「萬朶桜」、真実を追及する「瞳」など他の書展とは領域を異にする心の書31点が並んだ。     (松)

更 進

 

玄之又玄