平成28年度 文化功労者 顕彰展

 

尾崎 邑鵬

 

 10月28日、平成28年度の文化勲章受章者(6名)と文化功労者顕彰者(15名)が発表された。その内容は弊紙12月号にも紹介させて頂いたが、文化功労者顕彰で前例のない書家2名の同時顕彰が発表された。尾崎邑鵬氏(92歳、本名:敏一)と小山やす子氏(92歳)で、共に日本藝術院賞受賞者である。顕彰式は11月4日、虎ノ門のホテルオークラ東京で行われ、松野博一文部科学大臣より顕彰状と文化功労者年金証書(年間350万円終身)が授与された。式典最後に尾崎邑鵬氏が顕彰者を代表して挨拶をされた。
 顕彰理由は、各種受賞・勲章歴、役歴を通じての書道芸術文化普及・振興・発展の功績に及ぶが、書家としての生き様を評せば、尾崎氏は「中国の多様な書法の研鑽に務め、破筆の効果など独自の書風を確立し、斯界の範となる活躍を続けてきた。」    
 小山氏は「平安古筆を範としながらも、昭和から平成の時代を反映した自らの書風(文学を含む総合藝術としての書)を探求し、料紙と書、表装の調和を図った小山調の小字展開を確立した。」と言える。
 さて、顕彰者お二人の今年の日展作品を紹介させて頂いた。上記評に繋がると思うが、どうか。
○尾崎邑鵬「ほき飾」
 剛い毛の長鋒筆の穂元を一センチほど固く結わえての運筆。突入れた線、一画毎の空筆位置が高く、ゆえに自然に蔵鋒となり凛として墨が立つ。文字間の響き、空間の明快さ、尾崎調の真骨頂である。この字句の本来は四字句で、飾の前に「不」が入る。お供え物が十分でない、政治がよろしくないとの意であるが、「不」をあえて削った。尾崎氏は社中展でも今の話題を実直に調和体で書く。自身の願望をのせて。
○小山やす子「天つ風」
 古今集雑歌上より、僧正遍照、兼芸法師、紀友則、よみびとしらずの四首を一首毎に行間を微妙にとりながら筆が運ばれている。流れの中に次の歌を繋げない現代風の詠みに、一首毎の風韻を楽しむ心がある。一首目は、新嘗祭の最終の神事、宮中で舞う「五節の舞」の舞姫を詠んだ歌である。二首目も面白い。前詞に「女どものみてわらいければよめる」に続く。男は見た目じゃない、心だよと言い返した兼芸法師。「想いをよせ書く楽しみを味わった」との小山氏のコメントに納得。 
 お二人の益々の御活躍を祈念したい。 (松原)

 

 

 

 

ほき飾  尾崎邑鵬