第21回東京水穂会書展より
会長
日比野 光鳳
東京水穂会書展に発表された日比野光鳳会長の快作を紹介する。新古今集、百人一首にも撰歌されている紫式部の名歌。「めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬまに 雲がくれにし 夜半の月かな」そのはかない情趣が薄墨に宿る。更には鋒の働きによる線中の色変化にも触れることができる。それがごく自然の運筆の中に繰り出されるところに快作の所以があると言いたい。しばらくこの作から離れることができなかった。昨年の同展にも同じ素材が書かれているが、一段と増した自然体の凄さがある。真の上品を窺った。(篠原)
