第20回東京水穂会書展より


会長

日比野 光鳳

「紫式部『雲隠れ』」

 

 第20回の節目となった東京水穂会書展より、日比野光鳳氏の作品「雲隠れ」をピックアップさせて頂いた。
 昨年、体調を崩して一年間会場に姿がみられず随分と心配したが、今はすっかり回復されているとのことで、今日展から出品されており先ずは一安心である。今回は、源氏物語の「雲隠れ」を桃色の扇面に浮ぶように配した作品だが、2行目の「れ」に続く「と」、「も」の配置が意表をつく。通常、ちらしで「とも」と連続して入れそうなのだが、左右に分けたことで不思議な安定感をひきだしている。2008年の源氏物語千年紀に因んで水穂46回展で役員全員が取り組んだことが思い出されるが、その頃に草稿して温めていたものかも知れない。最後の「夜半の月かな」を「夜半の月影」と詠み(新古今和歌集)、ふたつの詠みが残っているが、紫式部はいずれを詠んだのか、興味を残す。(松)