|
第48回水穂書展より 日本芸術院会員 水穂会会長 日比野 光鳳
第48回水穂書展より日比野光鳳会長の六曲屏風作品を紹介させて頂く。この六曲屏風は、古今和歌集巻3の夏歌、清原深養父(きよはらのふかやぶ)の短歌で(小倉百人一首にも撰歌)、「夏の夜は宵のうちかと思うと、もう夜明けに近い。あの月は雲のどのあたりに宿を借りるのであろう」という歌意で、ちょうど6月の夏至あたりに歌ったのではあるまいか。水穂書展開催時期にぴったりと合致する書題である。実はこの歌には「月のおもしろかりける夜、暁がたによめる」との詞書がある。「暁がた」とは夜明け前のまだ暗い時分で、歌の中の「宵」は夜に入ってまだ間もない頃である。作者は遅い夕餉から友と話がはずんだのであろうか、時間はしらずに過ぎ去って暁がたの月に思いを馳せた。いつの時代も同じで、現代でも友達で夏至のころに駄弁り、酒を飲んで家に帰り本などを読んでいると、いつの間にか夜がしらじらとしてくることがよくある。 |
夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを |