第74回日本書芸院展より 紙上紹介


副理事長 高木厚人

−水の白波(山家集)−


 4面に第74回日本書芸院展の紙上展をカラー紹介させていただいているが、一昨年の改組第5回日展で内閣総理大臣賞(吉野山〈西行〉)を受賞した高木厚人の今出品作「水の白波」に焦点をあてた。
 西行は、厚人氏が6年程前から追っているメインテーマと思われる。改組第1回日展、第58回/第62回〜64回現代書道二十人展、第72回/73回日本書芸院展と西行の歌を素材としている。本作もまた山家集より西行の歌の選文だが、秀逸作だ。
 さて作品に目を移そう。一見、オーソドックスな構成の2紙縦作品であるが、意外にこの構成の作品は見かけない。杉岡華邨師の作品集も調べたが、昭和39
年の「述懐」と昭和53年の「安見兒」の2点がやや近いのみで、同様、同意図ではない。 右紙下半分を使用したやや切れ込み深い書出し、左紙に単字渇筆の「清瀧川乃」を際立たせるように長く鮮烈にのびる次行「しら」が斬新だ。やや左紙の行末を上げたのも右上と左下の余白が響いて余韻を含む。充実ぶりが伺える作品だ。(松)

 

 

 

                178×56cm×2