黒 野 清 宇 書展
平成6年、愛知教育大学退官記念の個展を松坂屋本店画廊で開催して以来の第2回展となったが、この間平成14年の第34回日展に於て、「雪と霞」で文部科学大臣賞を受賞、平成17年には日本芸術院賞を受賞しており、いわばそれらの受賞記念展ともいえるもので、多くの展覧者で盛会となった。
今展には、「万葉集」をテーマとした新作約30点が並んだ。着物、帯に書したシックな作品の他、裏から灯を通して書を浮かび上がらせた新感覚の試行作品まで幅広い展示内容であったが、これまでの寒玉調の連綿作品から単字の響きを前面に打ち出した試行作品が見受けられた。「此丘尓」もその1点である。素とした各字の響きがありながらも品格ある香りが残っており今後の展開に期待がかかる。もう1点の「春は花」の屏風作品は表装デザインを現代的な切り口で魅せ、三つの塊で構築された空間が心地よく響く。ゆったりとした行間の余白が新鮮な雰囲気を醸していた「あまの原」も挙げたい。
(松)
