岡山県総社市は奈良大和に次ぐ大古墳群の地として脚光を浴びつつある。総社市を流れる川は高純度の砂鉄を有し、その鉄製品で大和に比肩する大豪族がこの地を支配していたのではないかと言われている。吉備や黒姫の名が万葉集によく出てくるのは周知であろう。
 その総社市の出身で、いまや我国のかな書壇を代表する作家として活躍している高木聖鶴氏の書展が総社市と市教育委員会、市文化振興財団の主催で開催された。会場は市の第三セクター事業として最近完成をみたサンロード吉備路。武蔵生誕の地、黒姫伝説の古墳群に隣接した絶好の立地で、温泉、宿泊もでき、盛況を続けており、特に聖鶴氏の個展人気と重なり連日大盛会を呈した。
 今回展示されたのは、平成15年度に聖鶴氏から総社市に寄贈された36点のうちの35点で、15年ほど前の作品から近作まで。3年前にも文化庁買上げになった日本芸術院賞受賞作「春」以外の代表作を含む37点が寄贈され、市主催の書展が開催されており、正に生きてきた証を故郷にきざむ意義は大きい。
 その中より吉備を詠んだ有本芳水の歌を屏風作品に仕立てた「きひののをわかこえくれば花さきて 昔の人の思ほゆるかも」を紹介した。まるで春霞にたゆたうように流れる書線。実に空間性豊かな作品である。もう一点は、恐らく聖鶴氏の座右の銘のひとつであろう「芸術の運命」、ぎりぎりの渇筆が深さと、書意を明確にせしめた調和体作品、99年読売書法展出品作である。他、にじみを効かせた滋味ある一茶の「夕燕(96年関西100人展)」、ライフワークの巻子本から「古今和歌集第十三」、「三十六歌仙」など。   (松原)

    総社市所蔵  高木 聖鶴 書展 

   主催: 総社市・総社市教育委員会   
       総社市文化振興財団
   後援: 総社市文化協会

    ■ 5月15日〜23日  ■サンロード吉備路 1階コンベンションホール