−追悼―
文化勲章 高木 聖鶴
〈一貫した真摯で 敬虔な書学姿勢〉
「実るほど頭を垂れる稲穂かな」…正にこの言葉が限り無くフィットする書家人生を貫いた高木聖鶴氏が、2月24日に逝去された。
氏は、岡山県総社市で生まれ、故郷総社を離れることなく故郷を愛し、人を愛し、そして生涯の学習にしようと思って書を選んだ。その一徹までの精神力のさと、人知れずの努力の積み重ねが文化勲章・高木聖鶴を生んだといえよう。
数ある作品の中から、故郷総社市に寄贈されている2点を選んで紹介させていただいた。平成3年、日展内閣総理大臣賞受賞作と平成11年、読売書法展出品の調和体。自らの信念を『葉隠』の一節に重ねた「藝術の運命」である。大臣賞は書格と風韻が漂う存在感があり、「藝術の運命」は終わりなき修業を意味する聖鶴氏の座右の言葉である。ぎりぎりの渇筆が書空間に書き手の精神を包み込む。
藝術院賞を受賞し、文化功労者の顕彰を受けても様々な書展を巡り、その権力を決して乱用せず品格ある指導者を貫いた。文化勲章顕彰に足る書人生。今は、聖鶴先生の生き様の重さを改めて思うが、見事に己の「生」を全うされた。衷心より哀悼の意を表したい。合掌。(松)