高木聖鶴書展
―みやびと渾の世界―
後援/読売新聞社・朝陽書道会
■5月9日〜30日
■本館6階 和光ホール
10時30分〜18時
最終日は17時まで 日曜休
文化功労者・日展参事の高木聖鶴書展「みやびと渾の世界」が新装なった銀座和光本館で開催され、連日の盛況ぶりを呈した。
和光では2003年の書展以来2度目となるが、今回は3週間におよぶロングランの開催となった。数回会場を訪れたという観者も多く、実際筆者自身も3度会場に足を運んだ。103点の展示作品に高木聖鶴が結実しているといってよい。流麗な女性的線美から、感情にまかせた自在な表現、漢字の線の骨格を活かした男性的動感美まで余すところなく出し切っている。実に魅力いっぱいの展覧内容であった。その中、特に足が止まった作品がある。西行「むれたちて」と大弐紀卿「正月たち」。「むれたちて」は縦半分下からの起筆で、終部を上部に繋いだ特異な構成だが、実に自然に視点が誘われる。ゆらゆらとした終部の筆遣いが絶妙である。「大作を書いた後の心地よいなごりで、その余り紙に文字を書くと雑念のないものが出来ることが往々にあるんです」と聖鶴氏は語るが、修練を重ね、重ね抜いた者しか語れない言葉であろう。同様「正月たち」は、古今和歌集抄(巻子)の余り紙に書いた作品。回線のたふたふような流れが三次元的に揺らめいて、木漏れ日の中に浮かんでいるようである。約10mの巻子2点の交響曲的展開、ざわっとした漢字大字を組み込み骨力を通した屏風作品、余程の古墨であろう、真紅の古蝋箋に超濃墨の作品の輝きにも驚かされた。 (松)