第60回朝陽書道会展より
-60年に及ぶ研鑽の成果を比庵の歌に-
会長 高
木 聖 鶴
朝陽書道会の第60回記念展より高木聖鶴会長の四曲屏風「朝陽い万昇らんと之て紅尓東なか盤越そ免寳か志多り」を紹介させていただいた。
悠然とした大振りな筆致で、昇り来る朝陽があたりをぼんやりと明るく照らし出すさまを、朝陽書道会の60年に及ぶ研鑽の成果に喩えて共に祝うこころの有りようを書に込めた作品である。歌は同郷岡山県出身の歌人であり、書家、画家、政治家でもあった清水比庵。比庵は晩年「今良寛」と呼ばれ歌誌「窓日」を主宰し、歌、書、画の三位一体となった独自の世界の作品を多く残している。聖鶴氏はこれまでも比庵の歌を作品に書かれているが、今回は正に書き手のイメージが歌と同化し、漢字の重厚さとか
柔軟さが一体となって生き生きと表現されている。 折しもこの60回記念展に朝陽書道会創設者の内田鶴雲生誕110年遺墨展が企画併催されて盛会となったが、鶴雲師は漢字系から書を始め文検を取得、篆刻も修業し、かなに転じた書家である。「一巻百臨」の志は見事に聖鶴氏へと受け継がれ、氏は高野切や継色紙、寸松庵色紙、一條摂政集などの古筆の臨書を徹底的に叩きながらも、その一方で欧陽詢をはじめとした漢字古典も並行して常に勉強してきた。その書学姿勢は聖鶴氏により今も貫かれている。「師には一切お手本をもらっていません。真似をすると叱られました。かな古筆、漢字古典がすべて手本であり、だから朝陽会幹部の作風はみんな異なるでしょう。」と聖鶴氏は語る。もう1点の巻子作品「山家集抄」も見応えあった。 (松)